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賃借人が行方不明、連帯保証人(保証会社)が明渡をしても大丈夫?2022.7.17

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賃借人が行方不明、連帯保証人(保証会社)が明渡をしても大丈夫?

賃借人が、行方不明で連絡が取れなく家賃も支払われていない場合には、連帯保証人は賃借人に代わって賃料を支払い続けなければなりません。
たとえ本人と連絡が取れなくても、連帯保証人を一方的にやめることは出来ないため、賃借人が見つかるまで、そのまま家賃を支払い続けるか、賃貸人に協力をしてもらい賃料の未払による契約解除をしたのちに訴訟を提起して明渡の判決を得て強制執行手続きによることとなり、解決に約1年程度を要することとなります。
連帯保証人にとっては、その間の賃料支払い義務はなくならないため、非常に過酷な状況に置かれることとなります。賃貸人にとっても、賃料は支払われるものの空室のままで手を付けられず部屋が傷んでしまう心配もありました。



そうした中、とある家賃保証会社が、賃借人が行方不明の時にスムーズに契約解除と建物明渡が出来るようにするため、賃借人との「保証委託契約書」に以下のような内容を定めました。

1、家賃保証会社に、賃貸借契約を無催告解除する権限を付与する
2、家賃保証会社が、無催告解除することについて賃貸人・賃借人に異議がない旨
3、家賃保証会社が賃借人に事前に通知することなく、直接賃貸人に保証債務を履行することが出来る旨
4、家賃保証会社が、賃借人に対し求償権を行使するにあたり、賃借人が賃貸人に対する抗弁をもって保証会社への弁済の拒否が出来ない事の承諾
5、賃借人が任意に退去していないにもかかわらず、賃貸人や家賃保証会社に法的手続きによらない建物明渡を可能にし、これに対する賃借人の損害賠償請求を認めない旨

しかし、この条項について適格消費者団体(特定非営利活動法人消費者支援機構関西)が、消費者契約法違反になると賃貸保証会社に対し条項の使用差し止めを求める訴訟を提起しました。

第一審では、原告の消費者適格団体の請求が認められましたが、控訴審である大阪高裁判決は第一審の判決を破棄し、被告の家賃保証会社の用いていた条項はすべて無効ではないとの判決となりました。
(現在 原告より最高裁へ上告申立中)


判決の要旨
賃借人が賃料の支払いを2ヶ月以上怠り、家賃保証会社において合理的な手段を尽くしても、賃借人と連絡が取れない状況のもと、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃貸物件を相当期間利用していないものと認められ、かつ賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に察知できる事情が存在するときに、賃借人が明示的に異議を述べない限り、賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を付与する条項について、消費者契約法に違反するものではない。

当社の標準賃貸借契約の約款においても、以前より賃借人から連帯保証人への契約解除・明渡・残置物の処理についての予定した委任事項(賃料未払い・死亡などの停止条件付)の条項がありましたがこれにお墨付きを与えて戴いたものと考えます。
また、上記判決の後に国土交通省が「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しています。
時代の変化に裁判所の判断も、変化をしていっているのでしょう。



※当記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。当記事は当社が各種の情報源から作成しておりますが、制度等の概要について簡単に紹介したものでありその正確性・完全性を保証するものではありません。弊社では具体的な税額の計算、および、税務申告書類作成にかかる相談業務はおこなっておりません。個別の取り扱いについては、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご確認ください。

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