相続時の小規模宅地の特例の選択について 2次相続も考えてよく検討しましょう2024.2.20
相続時の小規模宅地の特例の選択について 2次相続も考えてよく検討しましょう
相続する場合どの財産を相続して、特にどのように配偶者控除・小規模宅地特例を選択するかで、相続税額に大きな差が生じることがあります。どの財産を選択してもあまりかわらないからと、何気なく決めてしまっている方で、気が付かずに進めている方も多いようですので注意が必要です。
配偶者控除とは
相続税の配偶者控除とは、夫婦のどちらかが亡くなり、配偶者が遺産を相続した場合に、その遺産額が1億6,000万円または法定相続分(法定相続人が配偶者だけの場合は100%、配偶者と子の場合は1/2、配偶者と直系尊属の場合は2/3、配偶者と兄弟姉妹の場合は3/4)までであれば、相続税が非課税とされる制度です。 正式には、「配偶者の税額軽減」といいます。
小規模宅地の特例とは
「小規模宅地等の特例」とは、相続した土地の相続税評価額(相続税を算出する際に基となる評価額)を80%(居住用財産 適用条件あり)~50%減額(APなどの事業用財産 適用条件あり)できる制度です。 たとえば、相続した自宅土地の相続税評価額が1億円だった場合、この特例を使うことで2,000万円にまで引き下げることも可能です(適用条件あり)。
例えばこのような相続があった場合(父親の相続で相続人は母と同居の子一人)
相続財産 自宅土地100坪(330平米 評価額3億円) その他現預金1億円 遺産総額4億円
ケース1
母が自宅の2/3を相続して、小規模宅地の特例を選択(2億円→80%減で4,000万円 配偶者控除で0)
子は、現預金を使いたいので現預金全額と自宅1/3を相続(1億円+1億 → 2億円)
相続財産額 2億円 基礎控除3600万円で課税財産は1億6400万円
ケース2
同居の子が、自宅を2/3相続して、居住用財産の特例を選択(2億円→80%減で4,000万円)
母が、現預金と自宅の1/3を相続するものの配偶者控除(法定相続分の1/2まで非課税 2億円→0円)
相続財産額 4000万円 基礎控除3600万円で課税財産は400万円
なんと!実に相続財産額で1憶6千万円もの差が生じることとなります。
2次相続があった場合には
ケース1は、自宅2億円 居住用財産の特例で80%減 4000万円 基礎控除3000万で課税財産1000万円
ケース2は、自宅1億円 居住用財産の特例で80%減 2000万円+現預金1億円 基礎控除3000万で課税財産9000万円
2次相続では、ケース2のほうが課税財産は8000万円多くなりますが、1次相続と2次相続を合わせて考えると明白です。
上記はわかりやすく単純な財産構成としましたが、これらが土地がもっと広い場合や、自宅とアパートがあるなど複雑な場合には特に、父の相続だけでなく、母の相続(2次相続)まで考慮した相続を考えなければならなくなり、相続税額で大きな損をする可能性があります。
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